血縁へのこだわり
ハハはチチとの結婚前に乳がんを患っていた。女性ホルモンに反応するタイプのがんだった為、妊娠は命の危険があった。
結婚して家族をつくりたかった。じゃあ養子を迎えよう。その為に出来ることをしよう。そう二人で話して結婚した。
迷いは無かった。
それ以外の選択肢は無かったので、選んだわけではない。
抵抗感も無かった。
思えば自分のDNAとか血筋とかといったものを意識して残したいと思ったことは無かった。子どもの成長は遺伝的なことよりも育つ環境による影響の方がはるかに大きいだろうと漠然と思っていた。
きっとそういう風に私たちが感じるような親の教育を受けてきたんだと思う。案の定、養子を迎えようと思っているということを結婚報告と同時に両親にしたら、二つ返事で「良いんじゃない。楽しみね。」だった。
これも当たり前の反応だと思ったが、みんながみんなこうではないらしい。
私たちは大層な家柄でもないし、不世出の天才でもない。どんな遺伝子もらおうが大して変わらんでしょ。と思っている。